甘いもの好きの男子の好み
私は甘いもの好きである。
この歳になるまで、少しずつ楽しめる音楽の領域を広げてきたが、
根っこは変わっていない。
最も好きな曲は、モーツァルトのピアノ協奏曲23番である。
この曲が好きになった経緯を簡単に書きたい。
私は東大ピアノの会に1988入会(1989年に2年生で入会)だが、
入会して何ヵ月か経過した頃、
同期のS嬢と一年下のO嬢がこの曲を2台ピアノで演奏した。
本番前のかなり早い時期から、会室などで練習するのを頻繁に耳にした。
その生き生きとした良い演奏を聴いて、
彼女達がこの曲を本当に好きであることを感じると同時に、
「モーツァルトって、こんなに魅力的な曲を作っていたんだ」
と目を開かされたのである。
さっそく、店に行って内田光子のCDを買い、その優しい音色に魅了された。
第一楽章の終わりの方で、一瞬演奏が止まる部分があるが、
私はその部分が一番好きである。
「音がない」部分に意味を込めるのは、勝手な東洋的解釈かも知れないが、
音のある部分の完成度の高さが、
無音部分に無限の余韻を感じさせるように思う。
この曲は私に理想郷のようなものを感じさせる。
ただ、この曲を好きだという私の好みに疑問を感じる人も多いと思う。
私は、甘いもの好きで、ワインにしても、高値の渋い赤ワインは、
飲めないわけではないが、大金を投じる気にはなれない。
フルーティーな甘口の白ワインで十分おいしく感じる質なのである。
時々は高値の音楽も味わいたいと思うが、
この歳になっても根っからの甘党なので、
もう変わらないかも知れない。
この先、甘党ながら色々な音楽も食す、という態度で行こうかと思っている。
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